サラ金で30年働いていると、
ときどき「え、そう来る!?」という人に出会う。
本人は大真面目。
でも第三者から見ると、どうしても笑ってしまう。
今日はそんな話を書く。
山奥の常連客、Aさんのこと
Aさんは「延滞の常連」だった。
支払いが止まる。
電話も出なくなる。
こちらから車で2時間かけて山奥まで会いに行く。
すると普通に家にいる。
このパターンを、何度繰り返しただろう。
ナビが途中であきらめるような山道をクネクネ登りながら、
「今日もたぶん普通に家にいるんだろうな」と思っていた。

インターホンを鳴らすと、予想どおり在宅。

ああ…すみません……
「家の物を持っていってほしい」
その日、Aさんは開口一番こう言った。

お金がなくて。生活も苦しくて。
家にあるもの、持っていってほしいんです
いやいや、
もちろんそんなことはできません。

それはできないです。
自分でリサイクルショップに売りに行ってみたらどうですか?
と、半分世間話のように聞きながら、
家の中を軽く見渡した。

・ゴミ屋敷の一歩手前みたいに散乱したゴミや衣服
・必要最低限しかない、年季の入った家具
・昔ながらの、色あせた仏壇
・生活の匂いと湿気が混ざった空気
そして奥の暗い和室の中。
そこにみえたのは。
古くて黒ずんだ仏壇。
錆びた金具。剥げた漆。
「この家で一番存在感があるのが仏壇」という状態だった。
金目のものは、何もない。
(これは本当にお金に追い詰められてるな)と、すぐにわかった。
薪の話
支払いの話がひとまとまりついたあと、帰り際に雑談をした。

来週末、この近くでキャンプするんですよ。
この辺においしいご飯屋さんとかありますか?
そんな感じで軽く話をふってみたんです。
すると、Aさんが何か閃いたようにこちらを見る。

キャンプ来るんですか!じゃあ薪、用意するので寄って下さい!

2,000円くらいで買ってもらえたら、こっちも生活が少し楽になるので。

(薪…?まあ山近いし、枝拾えば作れるか)
少しでも生活の足しになるなら…という気持ちもあり。

じゃあ、お願いします。当日寄りますね
そう伝えて、その日は帰った。
約束の日。Aさんの家に着くと。
約束の日に、キャンプへ向かう途中でAさんに連絡しました。

Aさんどうですか?先日言ってた薪用意できました?

用意できましたよ!、ぜひ寄ってってください
そしてAさん宅に到着すると
バラバラに砕かれた木片の山が、ドーンと置いてあった。


これ、薪にしときました!

(……いやこれ絶対、枝じゃない)
「あ…ありがとうございます…」
満面の笑みのAさん。
僕は山で木の枝などを拾ってきて薪にするって勝手に思ってたんです…
でもそこにあったのは、何かを解体したような木片。
近づいてよく見る。
木片の色、質感、そして…
錆びた、見覚えのある金具。

(あれ?、この金具、どこかで…)
そう思って、家の奥をチラッと見ました。
前に来たとき、暗い和室の奥に
やたら存在感のある古い仏壇がありました。
あの存在感のあった仏壇が…
きれいさっぱり、消えていた。
足元の木片の色といい、
混ざっている金具の形といい、見覚えしかありません。

(え、ちょっと待って。まさかとは思うけど…)
恐る恐る聞いた。

これ……
もしかして、仏壇じゃないですよね?

そうですよ!
ごく普通のテンションで、続けた。

もう古いから、細かくして薪にしたんだよね
ドヤ顔だった。
背中がゾワッとした。
あの何十年も使っていそうな年季の入った仏壇が、まさかの薪化。

乾かしといたんでよく燃えますよ!
Aさんのご先祖を祭っていた仏壇を、キャンプで燃やして楽しむなんて僕にはできません。
しかもなんかちょっと線香のにおいが残ってるし。。

ありがたいけど、今回は……気持ちだけ受け取っておきますね
それだけ言って、お金を置いて僕はその場を後にした。

笑い話みたいだけど、笑えない話
Aさんに悪気は一切なかった。
ただ、本当に追い詰められていた。
たぶんそれだけだ。
僕がこの30年で見てきた「お金じゃない返済」は他にもある。
・この家電、持っていってください
・趣味のコレクションで何とかなりませんか
・マグロ漁船に乗せてください
・私を〇〇して返します
笑えるようで、笑えない。
全部、本当にあった話だ。
そしてこういう人たちに共通しているのは、「最初から払えなかった」わけじゃないということ。
最初は払えていた。でも気づいたら利息だけ払い続けていた。そのうち限界が来て、仏壇を薪にする話になった。
もし「もう限界かも」と思っているなら
仏壇を薪にする前に、動ける手がある。
任意整理・過払い金請求は、正しい相手に頼めば思っているより早く、簡単に動き出せる。
ただし、頼む相手で結果が全然変わる。
まず話だけでも聞いてみてほしい。
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こういう「実際に僕が体験した実は」は今後も書いていきます。
僕自身が借金3000万円から生活を立て直した方法
実は僕自身も、離婚・介護・詐欺で3000万円の借金をしたことがあります。
毎月赤字で借金を増やしていく生活を送っていました。
そんな生活から家計を再建した過程や、立て直しの考え方はnoteにまとめています。
「債務整理一択なのか、それとも再建できるのか」を考えたい方は
そちらも参考にしてください。













「Aさん、来ましたよ。今月も入金になってないですよ」