「弁護士に頼んだ。これで請求がこなくなる。」
そう思って依頼した後、サラ金の社内では何が起きているのでしょうか。 取り立ては本当に止まるのか。その後、会社側はどう動くのか。
30年この業界で働いてきた現役の支店長として、社内の動きを全部お話しします。
受任通知が届いた瞬間、まず何をするか

弁護士や司法書士が依頼を受けると、「受任通知」という書類が郵便かFAXで届きます。
「この人の代理人になりました。今後は直接連絡しないでください」という正式な通知です。
受任通知が届いた時点で、社内では2つのことをすぐに行います。
① 社内の顧客管理システムに「弁護士介入」を登録する
これで営業からも督促からも、その人への連絡は一切止まります。 受任通知を受け取ったあとも電話や訪問を続けると、貸金業法違反になるからです。
② 信用情報機関に「弁護士介入」を登録する
信用情報に登録されると、他の金融機関もその状態を確認できるようになります。 この時点でほぼすべての金融機関で新たな借り入れができなくなります。
受任通知に書かれている方針は、大きく分けると4パターンです。
| 方針 | 内容 |
|---|---|
| 任意整理予定 | 残債を分割で支払う方向 |
| 自己破産予定 | 裁判所に破産を申し立てる |
| 個人再生予定 | 裁判所で債務額を減額する |
| 方針検討中 | まだ決まっていない(一番多い) |
実際には「方針検討中」で来ることが最も多いです。 弁護士や司法書士が債務の全体像を調べてから方針を決めるためです。
受任通知のあとは、基本的に放置
受任通知が届いたあと、特別な事情がない限り、サラ金側は3〜6ヶ月ほど静観します。
まずは弁護士から具体的な方針や提案が届くのを待つためです。
弁護士に依頼すると、督促や取り立ては止まります。
ただし例外があります。
サラ金側が動くケース(例外)
・他の債権者から差し押さえが入っており、財産があると確認できる場合
・勤務先がはっきりしており、相応の収入があるとわかっている場合
・弁護士介入後、長期間まったく動きがない場合
このようなケースでは、給与や口座の差し押さえ申し立てを検討することがあります。
ただし差し押さえの申し立てには裁判が必要で、判決が出るまで最低でも3ヶ月はかかります。
その前に破産申し立てをされると費用倒れになるため、慎重に判断しています。

任意整理の場合|交渉内容で結果が大きく変わる
弁護士から「任意整理で進める」という提案が来た場合は、残債に対していくら払うかの交渉になります。
ここで弁護士の選び方を間違えると
交渉なしで「和解日までの元金+利息+損害金を、将来利息なしの5年分割」
という条件で終わってしまうことが多くあります。
これはサラ金側の言い値を100%聞いたに近い条件です。
交渉なんてしてません。
最低でも「元金のみでの和解」に持ち込んでくれる弁護士を選んでください。
弁護士・司法書士の違い
任意整理・過払い金請求は、司法書士でも対応できます。
ただし司法書士は、取り扱える債権額に上限があります(1社あたり140万円以内)。
借入額が多い場合は弁護士に依頼するほうがいいでしょう。
過払い金が発生しているかどうかは、2010年以前から借り入れがあった人が対象になる可能性があります。
グレーゾーン金利(利息制限法の上限を超えた金利)で支払っていた場合、払いすぎた利息が戻ってきます。 これを過払い金請求といいます。
任意整理の流れ(目安)
- 受任通知 → 取り立て停止
- 弁護士が各社の借入残高・取引履歴を取り寄せる(1〜2ヶ月)
- 引き直し計算・過払い金の確認
- 各社と個別に交渉(1〜3ヶ月)
- 和解成立 → 分割返済スタート
任意整理の最大のメリットは、裁判所を使わずに済む点です。
費用も破産や個人再生より安く、手続きが比較的シンプルです。
自己破産の場合|申し立てまでは基本的に様子見
破産の場合、申し立てがあるまでサラ金側は動きません。
差し押さえをしようと思えばできますが、手続きに3ヶ月以上かかります。 その前に破産申し立てをされてしまうと費用倒れになるため、ほとんどの場合は放置して申し立てを待ちます。
通常、破産申し立てをしても裁判所からサラ金会社に連絡は来ません。
本来は弁護士や申立人が「破産事件受理票」を送るべきなのですが、実際には約半分のケースで送られてきません。
サラ金側が申し立てを知るのは、裁判所から「意見申述期間の通知」が届いてから、というケースも珍しくありません。
免責に意見を出すケース
破産手続き中、免責不許可事由に該当する事実があれば、必ずではありませんが、サラ金側は意見書を提出できます。
実際に僕も何度か提出した経験があります。
記憶に残っているのは、元教師の事例です。
パチンコにはまり借金をし、競馬にも手を出しました。
返せなくなって退職金で返済したあと、新しい職場でお金を横領してギャンブル資金に充てるようになり解雇されました。
親が弁済したにもかかわらず、また借金を重ねました。
最終的に詐欺行為まで判明し、免責不許可となりました。
これだけ明らかな不正があれば意見書を出します。
ですが通常は提出しません。
多少の免責不許可事由であれば、ほとんどのケースで免責は決定されるからです。
免責確定後の処理
免責が確定すると、信用情報の残債を0円に更新します。
「破産した事実は記録されているが、残債はない」という状態になります。
信用情報への破産記録は、原則として7〜10年で消えます。
自己破産が向いている人
- 収入が少なく、返済の見込みが立たない
- 債務額が大きく、任意整理・個人再生では対応できない
- 財産がほとんどない(あっても99万円以下の現金、生活用品など一部は手元に残せます)
自己破産の注意点
- 一定以上の財産は処分されます(持ち家、車など)
- 手続き中は一部の職業に就けない制限があります(士業、警備員など)
- 連帯保証人がいる場合、保証人への請求が始まります
費用は弁護士費用を含めて20〜50万円程度が目安です。 法テラスを利用すれば月々の分割払いで対応できます。
個人再生の場合|ほぼ放置
個人再生の申し立てがあると、差し押さえが禁止になります。 そのため申し立て前に債務名義を持っていた場合は差し押さえを検討することもありますが、基本的にはほぼ放置です。
受任から3〜6ヶ月後に弁護士へ「申し立て予定はいつごろですか」と問い合わせることはあります。 でもそれだけで、あとは申し立てを待つのみです。
個人再生の特徴
個人再生は「借金を減額して、残りを3〜5年で返す」手続きです。
家や車を手放さずに済む場合があり、住宅ローン特則を使えば持ち家を残しながら他の借金を整理できます。
ただし個人再生は弁護士にしか依頼できません(司法書士は不可)。 裁判所への書類提出も多く、手続きが複雑なため、地元の弁護士に依頼することをおすすめします。
個人再生が向いている人
- 安定した収入があるが、借金が多すぎて返せない
- 持ち家を手放したくない
- 借金総額が100万〜5000万円の範囲内

3つの手続き、どれを選ぶべきか
30年この業界にいて見てきた経験から言うと、手続きの選び方は以下の通りです。
| 手続き | 向いている状況 | 弁護士・司法書士 |
|---|---|---|
| 任意整理 | 収入はあるが金利が重い。 裁判所を使いたくない。 | どちらでもOK(金額次第) |
| 個人再生 | 収入はある。 家を残したい。 借金が多い。 | 弁護士 |
| 自己破産 | 収入が少ない。 返済の見込みがない。 | どちらでもOK |
依頼先の選び方まとめ
- 自己破産:誰に頼んでも結果は大きく変わりません。費用の安いところで大丈夫です。
- 個人再生:弁護士一択です。地元の弁護士に依頼してください。
- 任意整理・過払い金請求:誰に頼むかで結果が大きく変わります。慎重に選んでください。
現役支店長から、借金で苦しんでいる人へ
借金は、払えなくなったとき、放置すると悪い方向にしか進みません。 取り立てが厳しくなり、遅延損害金が膨らみ、精神的にも追い詰められていきます。
弁護士や司法書士に頼むことは、逃げることではありません。 正しい手順で解決するための選択です。
まずは無料相談だけでも受けてみてください。 話を聞いてもらうだけで、かなり気持ちが楽になります。
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